「6月には死んだと思われていたチームが、7月にまるで別のチームのように甦った」——ボストン・レッドソックスが2026年7月22日(現地時間)、フェンウェイ・パークでのオリオールズ戦(ダブルヘッダー第1戦)に6-3で勝利し、球団タイ記録となる15連勝を達成した。80年ぶりの快挙を一目見ようと、この日のフェンウェイには今季最多クラスの38,005人が詰めかけた。日本のファンにとっては、吉田正尚がこの快進撃の主力を担っていることも見逃せない。
6月には「AL最下位」。それがなぜ、80年ぶりの快挙まで駆け上がったのか
この連勝の本当のすごさは、「どん底からの逆襲」だという点にある。わずか1か月前の6月24日、レッドソックスは32勝46敗・貯金どころか14の負け越しで、アメリカン・リーグ最下位に沈んでいた。多くのメディアが「今季はもう終戦」と見なしていたチームだ。
それが7月1日のナショナルズ戦での黒星を最後に、負けが止まった。15連勝を終えた時点で戦績は52勝48敗——気づけば勝率5割を超え、ア・リーグのワイルドカード争いに本格的に顔を出す位置まで一気に駆け上がっていた。地区首位とは6ゲーム差が残るものの、「消化試合を待つチーム」から「プレーオフを狙えるチーム」へ。この連勝は単なる記録ではなく、1つのシーズンを丸ごと立て直したという意味で価値が大きい。

「1946年以来」の重み——前回はテッド・ウィリアムズが戦地から帰ってきた年だった
今回並んだ「15連勝」という球団記録が、いつ作られたものかをたどると、この快挙の希少さがより際立つ。前回の記録は1946年。伝説の打者テッド・ウィリアムズが第二次世界大戦の兵役で3シーズンを離れ、チームに復帰したまさにその年に打ち立てられたものだ。つまりレッドソックスは、80年ものあいだ誰も超えられなかった数字にようやく再び並んだことになる。
さらに視野を広げると、MLB全体で見ても15連勝以上は1961年以降でわずか8回目、直近では2021年のカージナルス以来という珍事だ。「今シーズンでいちばん熱い1か月」がボストンで起きていた、と言っても大げさではない。
吉田正尚、派手さはなくても「本来の姿」が戻ってきた
この連勝を語るうえで、日本のファンが注目したいのが吉田正尚の復調だ。連勝中の吉田は「1番・DH」として31打数11安打・打率.355、2本塁打7打点と絶好調。この日も中前安打で出塁し、先制のホームを踏んでいる。
シーズン全体では打率.267、OPS.744と数字だけ見れば地味に映るかもしれない。しかしこれは、不振に苦しんだ2025年(OPS.695)からは明確な右肩上がりだ。出塁率は.343とMLB平均に近い水準を保っており、持ち味である選球眼と四球を選ぶ力は崩れていない。打率が上向いてきた今、本来の吉田——「四球で出て、しぶとく打ってつなぐ」タイプの打者——がチームの上昇気流に乗り始めた、と見るのが妥当だろう。連勝という結果の裏で、静かに調子を取り戻していたのだ。
Xではファンも大興奮
歴史的な連勝に、地元ボストンを中心にファンの熱狂が広がった。単なる勝ち負けを超えて、「シーズンそのものが楽しくなった」という声が多いのが今回の特徴だ。
- 地元レッドソックス担当のジャレッド・キャラビス氏「6月には死に体だったのに、僕らに夏を取り戻してくれた。意味のある試合を見られる、それだけで十分なんだ」
- 「もうジャイアンツ(球団史の連勝記録)の更新を考えてもいい?さすがに気が早いか」と、期待が止まらないファンも
- 「サードベースからハンティントン・アベニューまで、また勝利の歌が響き渡る」と、フェンウェイの高揚感を綴る声
- 殿堂入りのデニス・エッカーズリー氏もスタンドから「この盛り上がりは最高だ」とコメント
勝ち負けそのものより「もう一度、意味のある試合が帰ってきた」ことを喜ぶ声が目立つ。それだけ6月の低迷が重く、そこからの復活劇がファンの心に刺さったということだろう。
16連勝はならず。それでも今のレッドソックスは「怖い」
惜しくも、球団新記録となる16連勝は達成できなかった。同じ日のダブルヘッダー第2戦でオリオールズに1-5で敗れ、記録更新はお預けとなった。7月1日以来、実に3週間ぶりの黒星だった。
とはいえ、失望する必要はない。1か月前まで最下位だったチームが、勝率5割を超えてワイルドカード争いに割って入ってきたのだ。吉田正尚の復調も後押しする今のレッドソックスは、対戦相手にとって「いちばん当たりたくない相手」になりつつある。後半戦、この勢いがどこまで続くのか——目が離せない夏になりそうだ。
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