大リーグ地区シリーズ(NLDS)第1戦、ドジャースが前日に巻き起こった”まさかの先発回避”論争を吹き飛ばす快勝を収めた。ブレーブスを本拠地に迎えた一戦で先発したのは、山本由伸ではなくタリク・スクーバル。気温37.8度の酷暑の中、6回2安打1失点、7奪三振という圧巻の内容でチームを5-3の勝利に導いた。
山本由伸ではなくスクーバル——前日の騒動から一夜の”答え合わせ”
ドジャースは地区シリーズ第1戦の先発投手にタリク・スクーバルを指名。2年連続サイ・ヤング賞右腕(左腕)の抜擢は、近年のポストシーズンで実績を積んできた山本由伸を差し置いての起用となり、発表直後は一部ファンから強い反発の声も上がっていた(詳細は前回記事を参照)。
しかしスクーバルはその期待に完全に応えた。初回先頭打者に許した安打以降、15者連続アウトという圧巻の投球内容を披露。6回途中にショーン・マーフィーへ本塁打を許すまで一切の隙を見せなかった。94球を投げ切り、試合後は次のように振り返っている。
「It’s an honor and a privilege to start Game 1 and have the trust in the coaching staff and my teammates and the organization to take the ball and go out there and do what I can do to put our team in a position to win.(Game1で先発を任されるのは名誉なことだし、コーチ陣やチームメイト、球団からの信頼を感じる。それに応えてチームを勝利に導けるよう全力を尽くすだけだ)」
チームメイトからの評価も高い。内野手ミゲル・ロハス選手は「He’s a bull.(彼はタフな男だ)」とスクーバルを称賛し、「He’s one of those guys that you want in the front of your rotation.(ローテーションの先頭に置きたいと思わせる投手だ)」と続けた。三塁手マックス・マンシー選手も「He was as advertised for the postseason.(噂通りの投手だった)」「it was really fun to see him go out there and do his thing.(彼が自分のスタイルを貫く姿を見られて本当に楽しかった)」と手放しの称賛を送っている。
大谷翔平、負傷からの”ポストシーズン始動”は1安打
左膝と右上腕二頭筋の不安を抱えながら9月24日に実戦復帰した大谷翔平は、この日は「2番・DH」でスタメン出場。第1打席、初回にいきなり時速105マイル(約169km/h)の強烈な打球でライト前ヒットを放ち、幸先の良いスタートを切った。その後は3打席連続で外野フライに終わり、最終的には4打数1安打。本来の爆発力こそ発揮できなかったものの、本人も認める通り「万全ではない」状態の中、着実な一歩を踏み出した格好だ。
観測史上級の酷暑、発表動員と”見える空席”論争
この日のドジャー・スタジアムは試合開始時点で気温37.8度(華氏100度)、体感温度は40.5度(華氏105度)に達した。これは2017年ワールドシリーズ第1戦で記録された観測史上最高の38.9度(華氏103度)に迫る数字で、球団は異例となる無料の水の配布を行うなど対策に追われた。
酷暑の影響は観客動員にも波及し、ちょっとした論争を呼んだ。一部報道では「チケットは完売、動員54,253人」と伝えられた一方、別の集計では「発表動員50,194人、実際には空席が目立った」とも報じられており、数字には幅がある。実際にスタンドの一部が閑散として見える写真がSNSに出回ると、以下のような声が上がった。
- 「Pathetic scenes at Dodger Stadium. Fake fanbase.(ドジャー・スタジアムの惨状。見せかけのファンだ)」と酷暑の中の空席を酷評する声(@Z_Eazyyさん)
- 一方で大谷のヒットには「Good sign #Dodgers #ShoheiOhtani(良い兆候だ)」と好意的な反応も(@msalas24さん)
- アトランタから駆けつけたブレーブスファンのヘレン・グリーンさんは「It’s hot, but it’s not bad.(暑いけど、そこまで悪くない)」「In Atlanta, my hair would have been up by now.(アトランタだったら、今頃髪をまとめてるわよ)」と現地の暑さと比較しつつタフに観戦を楽しんでいた
レジェンドのマジック・ジョンソン氏も試合後、「coming out to Dodger Stadium, where it was over 100 degrees(100度を超えるドジャー・スタジアムに足を運んでくれて)」「supporting our Dodgers in extremely hot conditions(この酷暑の中でドジャースを応援してくれて)」とファンへの感謝をSNSで伝えている。スクーバル自身も「I’ve got a lot of respect for the fans that came out.(駆けつけてくれたファンには本当に敬意を感じる)」「pack some sunscreen.(日焼け止めを忘れずに)」とユーモアを交えつつ労った。マンシー選手も「That’s probably one of the hottest games we’ve ever had here.(これまで経験した中でも一番暑い試合だったと思う)」「shout out to the Dodgers fans. They were amazing.(ドジャースファンに感謝したい。最高だった)」と締めくくっている。
まとめ:3連覇へ向けたドジャースのローテーション戦略
今回の先発起用には、単なる実力評価以上の戦略的な狙いもあったとみられる。ブレーブス打線が左投手を苦手としている点を突く”マッチアップ重視”の采配に加え、昨季のポストシーズンで投球回数がチーム最多だった山本由伸の負担を、シリーズ序盤では抑えておきたいという意図もあったようだ。94球に抑えて降板したスクーバルは、最大5戦までもつれた場合の第5戦登板も視野に入る状態を保っており、ドジャースにとっては山本との”二枚看板”をフルに活かせる布陣が整いつつある。球団史上初の3年連続ワールドシリーズ制覇へ向け、幸先の良いシリーズ開幕となった。
SV編集長:前日の”まさかの先発回避”への怒りの声が一夜にしてここまで鮮やかに裏返るとは思いませんでした。結果論と言ってしまえばそれまでですが、球団の采配の意図を含めて振り返ると、スクーバルと山本由伸という”二枚看板”をどう使い切るかという長期戦略が見えてきて面白いですね。
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